欅坂46の改名は吉と出るか凶と出るか
先日のオンラインライブで改名を発表した欅坂46。
彼女は品行方正、ひたむきでまっすぐな優等生であるにもかかわらず、欅坂46が何かと世間を騒がせる度にキャプテンとして矢面に立たされる場面が増えた。そのため、ファンからは「もう彼女が頭を下げる姿を見たくない」「他のメンバーやスタッフは彼女に頭を下げさせないようにすべき」などと彼女を擁護する声が目立つようになった。
しかし、彼女の謝罪はドラマチックを売りにする欅坂46には必要な要素なのである。
例えば、あの場に運営スタッフが表れて、改名を発表したらどうなるだろうか。
まず第1に、それは欅坂の世界観の崩壊を意味する。メンバーにとって、またメンバーを支えるクリエイター集団にとって、あの舞台は病的なまでに神聖な場所なのだ(この意識が紅白歌合戦の原因の一つである)。だから、演者以外の者が土足で踏み込むことは許されない。
第2に、受け手である私たちとしても、突然あの場に知らないスタッフが出てきて発表したところで、上手く感情移入することができず、興ざめしてしまう。AKB48の戸賀崎元支配人のように名が知れた幹部がいるのであれば別だが、そのような存在は欅坂46にはいないだろう。
このように、結局あの発表を行うのは菅井友香しかいなかったのである。本当に気の毒な役回りを強いられてしまったとしかいいようがないのだが、結果的に、今回の彼女のスピーチは彼女が愛する欅坂46を守りきったといえ、大成功だったのではないか。
この記事の最後に、彼女のスピーチの全文をモデルプレスの記事から転載しておく。少し長いが、それでも読む価値があるものなので、是非ご覧頂きたい。
いよいよ本題、欅坂46の改名について。
この判断は吉と出るか凶と出るか。
SNSの反応を見ていると、これについては五分五分、いや凶と出ると見ている人の方が多いように思える。
その要因として1番大きいのが「欅坂46」のブランドを失うことである。サイレントマジョリティーが大ヒットし、平手友梨奈が世間の大きな注目を集めた結果、良くも悪くも欅坂46の名は世間に知られることとなった。
この看板、ブランドは今の欅坂にとって最も大きな財産であり、守り続けるべきもののように思える。
(例えばTOKIOは、会社名としてこのブランドを存続させた。)
しかし、この看板こそが欅坂が抱える一番の問題だ。
平手友梨奈が欅坂46を築き上げた以上、欅坂46は平手友梨奈を越えられないのであって、
彼女が脱退した今、平手友梨奈を引き継ぐスターを発掘できない限りこのイメージは足枷にしかならないのだ。
そのため、スター"候補"たる山崎天や森田ひかるの発掘にとどまっている現状では、やはり欅坂46という縛りからの脱却しか道は残されていなかったのである。
しかし、改名したところでどうなるのかという指摘もあるだろう。
たしかに、運営母体やメンバー、スタッフは変わらないのだから、本当に名前が変わっただけにすぎず、改名したところでこの厳しい状況が打破できるとは思いがたい。その点に関しては私も同意したいと思う。
しかし、私はそれでいいと思っているのである。なぜなら、私は欅坂46に国民的アイドルの階段をかけ登って欲しいわけではなく、ただただ一生懸命に励むメンバーたちに、一生懸命に取り組める環境や、やりがいを確保してあげて欲しいと思っているのだ。
だからどんな結果になろうとも、またゼロからグループを築き上げることに意味があるのである。このグループは紛れもなく自分たちのものだと、自信を持って言えるように。
かつて欅坂46のメンバーたちは口々に、「この21人でいたい」「1人でも欠けたら欅坂46ではない」と言っていた。そして、私たちはこの儚さにロマンを見ていた。だから自分勝手な私は、そのロマンを取り戻したいと願うだけなのだ。
どうかこの改名を機に、彼女たちには、女子校の放課後のような和気藹々とした雰囲気や、学生が部活にかけるような熱い青春の思いを、なんの気兼ねもなく取り戻して欲しいのである。
菅井友香キャプテンのスピーチ全文
「改めまして欅坂46を応援していただき、ありがとうございます。配信ライブをここまで見てくださり、本当にありがとうございます。久しぶりのライブですし、いつも支えてくださる皆さんに、久しぶりに私たちの元気な姿とそして楽曲のメッセージ・パワーをお届けしたいという一心でパフォーマンスさせていただきました。皆さんには届いていますでしょうか?
そして私たちから皆さまにお伝えしたいことがあります。私たち欅坂46は、この5年間の歴史に幕を閉じます。そして欅坂46とは前向きなお別れをします。10月に予定している欅坂46のラストライブにて、欅坂46としての活動に区切りをつけさせていただきます。そして新しいグループ名となり、生まれ変わります。
もちろんこの決断をすぐに受け入れられるメンバーばかりではありませんでした。私たち自身も欅坂46に対する思い入れがすごく強いですし、ここまで半端な気持ちでこのグループとして続けてきたわけではありません。私自身も大好きな欅坂46をずっとずっと守ることができたらなと思って活動してきました。でも…でも…このグループとしてもっともっと強くなるための決断だと、今日までスタッフの皆さん、そしてメンバーのみんなと話し合った結果、今は前を向いています。
欅坂46だからこそ叶えられた夢がたくさんありました。今ここにいないメンバーも含めてみんなで叶えられたこと、そして応援してくださった皆さまがいたからこそ、叶えられたことがたくさんあります。心強いメンバーやスタッフの皆さん、そして素敵な楽曲、そして本当に素敵なクリエイターチームの皆さん、そして数え切れないくらいの応援してくださる皆さまと出会えたことは本当に誇りです。本当に今まで欅坂46に出会ってくださって、欅坂46を好きになってくださって、欅坂46を支えてくださって、本当にありがとうございました!
たくさん楽しい思い出があった一方で、正直悔しい思いもたくさんしてきました。なかなかこの2年は特に出口の見えないトンネルを彷徨っていた状態だったと思います。予測できないことがたくさん起きて、思うように活動できない時もたくさんありました。応援してくださっている皆さまの期待に応えられていないんじゃないかなって思う時もありました。
そしてメンバーの卒業・脱退も続きました。グループの名前が1人歩きして、耳を塞ぎたくなるようなことに悩まされたこともありました。でも欅坂46を好きだと思えば思うほど苦しくなり、もっとこうしなければならないと考えれば考えるほど、執着が生まれたような気がします。今、グループとして強くなるために、新しく入ってきてくれた2期生、新2期生、そして1期生の28名でここから新たなスタートを切り、ここからまた皆さんとたくさんの夢を叶えていけるように頑張りたいと思っています。
そしてここから強くなるために、今まで大切にしてきたものを1度手放すことで、あいたスペースには本当に大事なもので満たされるんじゃないかなと思っています。ここからのリスタートになるので、相当な茨の道が待っていると思います。でもまだ色のない真っ白なグループを、皆さんと一緒に染めていけたらいいなと思っています。欅坂46で培った経験がきっと私たちを鍛えてくれています。ですので、この経験を信じてまた新たに強く強いグループになることを約束致します!ですので、これからも私たちに期待していてください。これからも私たちの応援、どうぞよろしくおねがいします!」